母乳で育てたいけれど、なかなか母乳量が増えないと悩んでいるママは多いもの。授乳にはコツが必要で、誰でも最初から上手くいくわけではありません。
今回は、母乳が出る仕組み、母乳が出ない原因、授乳のコツなどを紹介します。母乳が出るまでの期間は個人差がありますが、母乳は出るようになります。諦めないで今の授乳法を見直してみましょう。
まずは母乳が出る仕組みを知ろう
母乳はどのように出るのでしょうか?
まず、妊娠中の体のことから説明します。
妊娠すると、母乳を作るホルモンの「プロラクチン」が分泌され、乳腺が発達します。
出産が近くなる頃には母乳の準備が整って、赤ちゃんがいつ生まれても良い状態になります。でも、妊娠中に母乳は出ないですよね。それは、ホルモンの「プロゲステロン」と「エストロゲン」が母乳を分泌する働きを抑えているからです。
出産すると2つのホルモンの分泌が無くなり、母乳の分泌が始まります。
出産後、赤ちゃんがママのおっぱいを吸うことで、母乳を作るホルモンの「プロラクチン」、母乳を出すホルモンの「オキシトシン」が次々に作られます。何度も赤ちゃんがおっぱいを吸うことで、母乳量が増えていきます。作られた母乳は、赤ちゃんがおっぱいを上手にくわえて吸うことで出てきます。
プロラクチンは、授乳を始めてから30分後に分泌がもっとも多くなり、次の授乳に向けて母乳を作ります。また、夜間に授乳をすると、昼間よりも多くプロラクチンが作られることも分かっています。
母乳を出すには、赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう必要があります。授乳しているけど出ないと悩んでいるママもいるかもしれません。
次に、母乳が出ない理由を見ていきましょう。
母乳が出ない原因
母乳が出ない原因のほとんどは、授乳回数が少ないからです。
出産直後から母乳が出るママは少なく、順調に出るまでに1ヶ月以上かかります。母乳が順調にでるまでの間、ミルクを足しますよね。ミルクを足すことは、赤ちゃんの成長の為に大切なことですが、それで授乳回数が減ってしまうと乳頭への刺激が少なくなります。そうするとプロラクチンの分泌が減り、母乳が作られません。まず、おっぱいを吸わせてから、ミルクを足していきましょう。
授乳の回数を増やしても母乳が出ない場合は、ママの体質の可能性があります。もともと、母乳を作れる量が少ないママもわずかにいるからです。その他には、胎盤の一部が子宮内に残っている、大量出血によってホルモンの分泌が悪い、乳腺の発達不全などが原因で母乳が出ないことがあります。一時的に母乳の量が減る原因として、ピルを飲んでいる、妊娠、喫煙、飲酒、深刻な栄養不足などがあげられます。
ママの体質で母乳が出ないことはまれなので、まずは授乳回数や時間が少ないのではと疑ってみましょう。
母乳は必ず出るようになると信じるところから始まる
私も出産して母乳が上手く出ませんでした。首のすわらない赤ちゃんを上手く抱きかかえられないし、子どももおっぱいを吸うのが下手で、体勢を整えるのも一苦労。出産後2ヶ月間くらいは、授乳をしてからミルクを足す混合栄養を続けていました。それから、少しずつ子どもがミルクを残すようになって、生後3ヶ月頃に完全母乳になりました。
最初は母乳が出ていなくても授乳回数を増やせば、母乳の分泌は増えていきます。逆に、授乳の回数が減ると「赤ちゃんは食が細くて母乳をたくさん作らなくてもいい」とママの体は判断します。
母乳が順調に出ると信じて、授乳をあきらめずに続けてみましょう。
基本は3時間毎の新生児への頻回授乳
母乳を順調に出す為には、1日8~12回の授乳が目安です。最低でも3時間ごとの授乳になりますね。きっちり3時間空けて授乳をする必要は無く、母子に合ったタイミングがあります。
例えば、少しずつ飲みたい赤ちゃんは、2時間毎の授乳になるかもしれません。ママの母乳が十分に出ていても、赤ちゃんの飲む量が少ないなら、授乳の回数は増えるでしょう。
赤ちゃんの欲しがる量に合わせて、ママの体は母乳を調整していきます。赤ちゃんのお腹がすいたタイミングに合わせて、授乳をしていくことがおすすめです。しかし、授乳回数が少なくなると母乳量が減っていきますので、最低でも3時間毎の授乳が基本となります。
新生児は吸う力が弱いので体勢や抱え方を変えてみる
授乳の体勢は、横抱き・縦抱き・フットボール抱きなどいろいろあります。赤ちゃんが深く乳頭をくわえられる体勢だと母乳がスムーズに出てきますよ。また、赤ちゃんの体が真直ぐになっていることが母乳を飲みやすくするポイントです。
首が座っていない新生児は、抱き方も難しいものです。新生児を授乳しやすい体勢の一つに「交差横抱き」がありますので、方法を紹介しますね。
<交差横抱き方法>
左乳を授乳する場合
1.赤ちゃんが左側を向くように横抱きをします
2.ママの右手を大きく開き、赤ちゃんの首と頭の間を包み込むように支えます
3.ママの右腕は赤ちゃんの背中を支え、赤ちゃんは顎を突き出します
4.左乳房を手で支えます
5.赤ちゃんを引き寄せ、舌に乳頭を載せます
6.赤ちゃんの口が大きく開き、顎が乳房についているか、体がねじれていないかを確認します
おっぱいを飲むのが得意でない赤ちゃんは、乳頭を深くくわえられません。体勢や抱き方を変えると、母子共にベストな授乳方法が見つかるはずです。いろいろと試してみてくださいね。
乳首だけでなく乳輪をくわえるように練習する
乳首だけでなく乳輪までくわえるようにするのは、なぜでしょうか?
それは、深くくわえることで乳頭が刺激され、母乳が効率よく分泌されるからです。乳房の先端から3cm以上くわえているのが目安です。1~2cmの浅い飲み方になると、乳首に傷ができる原因となります。
深いくわえかたにするには、赤ちゃんが大きく口を開けること、深くくわえられる抱き方にすることです。赤ちゃんの顎が乳房に付いていると、深くくわえられている証ですので確認してみましょう。
最初は誰でも上手くいきません。何度も授乳することで、ママも赤ちゃんもコツがつかめるはずです。
おっぱいマッサージを自分でもするし、慣れている人に頼む
母乳量が十分でないとき、おっぱいマッサージも試してみましょう。乳首が固いと、赤ちゃんが飲みにくく、ママも痛みが出る場合があります。授乳の前に、乳首を圧迫したり、上下左右に伸ばしたりしましょう。力は少しずつ入れて加減するのがポイントです。
また、おっぱい全体もマッサージしましょう。脇の辺りから中央に向かって、下から上に持ち上げて動かすと、おっぱいの血行がよくなりますよ。
その他に、母乳外来を受診して助産師さんにマッサージをしてもらう方法もあります。授乳の悩みをアドバイスしてくれますし、マッサージの方法を覚える機会にもなります。母乳育児に疲れてしまいそうだったら、プロにアドバイスを求めてみましょう。
食事を見直して母乳のもととなる血液を増やそう
赤ちゃんのお世話をしていると、ママは睡眠不足になり疲れてしまっているかもしれません。そのようなとき、食事を簡単に済ませていませんか。授乳中のママが摂る食材に制限はありませんが、母乳を分泌することで、ママの体から栄養が失われています。
授乳中の摂取カロリーは、通常よりも350kcalをプラスするのが目安です。特にビタミンA、鉄分、葉酸など意識して摂りたい栄養素です。いろいろな食材から必要な栄養を摂れるよう、バランスの良い食事をするように意識しましょう。
母乳の出が良くなるお茶やハーブティを試そう
授乳中の水分補給に、母乳の出が良くなるお茶やハーブティを試す方法もあります。お茶やハーブティは医薬品ではありませんので、必ず出るようになるわけではありません。しかし、血行促進やリラックスする助けになり、母乳が増える可能性があります。個人差もありますので、興味がある方は試してみてくださいね。
母乳の出が良くなるとされるハーブティには、ラズベリーリーフ、ジンジャー、タンポポ茶などがあります。香りや味は様々ですので、好みのお茶が見つかるといいですね。
赤ちゃんの体重を測り母乳不足になっていないか確認する
ミルクと違って赤ちゃんが飲んだ母乳の量は目に見えないものです。母乳不足になっていないか心配になりますね。母乳不足になっていないか確認する方法に、体重、尿量、赤ちゃんの様子などがあります。その中で、数値として確認しやすいものは体重です。
新生児は、一般的に生まれてから体重が自然に減る「生理的体重減少」が起こります。赤ちゃんが排出する便や尿で体重が減っていくのです。摂取できる母乳やミルクの量が増えると、体重も増えていき、生後2週間で出生体重に戻るのが理想とされています。その後、生後1ヶ月までは、1日に18g以上の増加があるかが目安です。といっても、授乳量や体重増加には個人差があります。1日の体重増加を気にすると、ストレスになりますので、1週間や2週間単位などで見ていきましょう。
生後0~3ヶ月の間は、成長曲線よりも1ヶ月分体重増加が遅れていると、母乳不足が起こっている可能性があります。心配なことがあれば、健診時に医師へ相談するのがおすすめです。
母乳育児にこだわらないなら諦めることも考える
授乳には母子ともにスキルが必要です。誰でも最初から上手くいくわけではありません。少しずつコツをつかんで、母乳育児は進んでいきます。しかし、慣れない育児で体が疲れている中、頻回授乳をするのは、ママの体にも負担が掛かります。母乳が出ないことでストレスになるなら、諦めるのも1つの手です。ミルクは飲んだ量が分かり、パパも授乳に参加できるのがメリットです。家庭に合った授乳方法を選択していきましょう。
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