赤ちゃんは鏡が大好きです。
泣いていても機嫌が良くなるので、赤ちゃんに鏡を見せているママが多いと思いますが、身内の人から「赤ちゃんに鏡を見せてはいけない」と言われた事はありませんか?
赤ちゃんは鏡が大好きなのに、なぜ見せてはいけないと言われているのでしょうか。
そこで、今回は赤ちゃんと鏡について紹介していきたいと思います。
赤ちゃんに鏡がダメな理由あれこれ
地域や家庭によって、赤ちゃんに鏡を見せてはいけないと言われている理由は諸説あります。
- 目が悪くなる
視覚が十分に発達していない赤ちゃんのうちから鏡を見せると、目が悪くなるのではないかと考えられています。
- 興奮しすぎる
赤ちゃんは鏡が大好きですが、大好きすぎて興奮しすぎて、ぶつかって怪我をしたり夜泣きをしたりする原因になるのではないかと考えられています。
- 魂を吸われる
写真でも同様の迷信がありますが、鏡や写真のように自分の姿を映すものをのぞきこむと魂を吸われるという説があります。
また、赤ちゃんは鏡を通して前世をみる事ができるため、あの世に連れて行かれるという説も存在しています。
- 水鏡に反応するようになる
池や井戸などの水鏡に映る自分の姿を追って、水に飛び込んでしまうと考えられています。
井戸が珍しくなかった頃には、実際にそのような事故があったという話もありますが、井戸も減って水道が主流になっている昨今では、あまり神経質にならなくても良いようです。
ただし、赤ちゃんが浴槽内で事故に遭う事は珍しくないため注意が必要です。
- 疳の虫が強くなる、人見知りをする、幼顔になるなど
詳しい理由は分かりませんが、赤ちゃんが鏡を見る事で疳の虫が強くなったり、人見知りをしたりするという説もあり、幼顔になると言われている地域もあるようです。
おじいちゃんやおばあちゃんの世代では、赤ちゃんに鏡を見せてはいけないと言われてはいたものの、具体的に理由を説明できる人はほとんどいないようです。
問い返しても「昔から言われている」「詳しい理由は分からない」と答える人が大多数で、ほとんどは迷信じみたものだと言えます。
また、赤ちゃんに鏡を見せてはいけないと言われて気にするママもいますが、医学的にも科学的にも赤ちゃんに鏡を見せる事で悪影響がある事は立証されていません。
むしろ最近の育児書では、赤ちゃんの発達過程で鏡を見せると良い影響があると言われており、赤ちゃんに鏡を見せる事が推奨されています。
なぜ鏡に関する迷信が多いの?
言い伝えや迷信とはいえ、なぜ赤ちゃんと鏡に関するものが多いのでしょうか。
日本には昔から「三種の神器」と呼ばれるものがあり、鏡もその神器の1つとされていました。
鏡はとても高価なもので、魔除けとして用いられていた事もあります。
また、特別な霊力を持つと信じられており、現在でも神社などで鏡を祀っている場所がいくつかあります。
鏡は魔を跳ね返す力があると言われており、魔を撃退するための刃物としての意味を持つ小さなはさみと鏡を一緒に枕元に置くと魔除けになるそうです。
ただ、鏡は自分の想いも跳ね返すため、場合によってイライラが更に増したり、不眠の人が更に眠れなくなったりもするようです。
日本人にとって鏡は聖なるものであり、跨いだり傷つけたりしてはいけないと古来より考えられてきました。
このことから推察すると、昔は鏡がとても高価なもので今ほど一般家庭に普及していなかったため、赤ちゃんに鏡を見せて割ったり、破片で怪我をしたりするのを避けるために、「赤ちゃんに鏡を見せてはいけない」という迷信が考えられたのではないでしょうか。
少し脅かすような恐い内容を言い聞かせておけば、親も赤ちゃんを鏡に近づけようとはしなくなります。
たとえば、「夜に口笛を吹くと泥棒がくる」「食べてすぐに横になると牛になる」などとよく言いますが、これらも実は周囲や健康面に配慮して考え出されたものだという説があります。
赤ちゃんと鏡についても、地域や家庭によって内容が異なるのは、いろいろな人が創意工夫をして赤ちゃんを危険から遠ざけようとした結果なのかもしれません。
赤ちゃんに鏡を見せると怒られた時の対処法
赤ちゃんに鏡を見せていたら、親や親戚に「鏡を見せてはいけない、と怒られた」という経験があるママも結構いるようです。
そんな時には、どう対処したら良いのでしょうか。
世の中のママさん達の対処法をいくつか紹介します。
- 素直に言うことを聞く
人間関係に波風を立てないためにも、穏便に済ませるというママがいました。
- 根拠がない、と説き伏せる
迷信や言い伝えであり何の根拠もない、と説き伏せたママもいました。
- 笑ってごまかす
言い分は聞き入れるものの、笑ってごまかすという方法もあります。
- 看護師さんや保健師さんの名を出す
医療関係者である看護師さんや保健師さんから「鏡を見せても大丈夫と言われた」と言うと、納得してくれる人もいるようです。
- 赤ちゃんの発達に良いことを説明する
赤ちゃんに鏡を見せることは脳の発達にも良いことを伝えてみる、という方法もあります。
鏡について書かれている育児書を見せるというのも、一つの方法です。
- 根拠も理由もない、と突き放す
明確な理由を知らない人も多いので、突き放したという強者ママもいました。
- 怒った人を遊びに巻き込む
赤ちゃんが鏡を見て喜んでいるところを見せれば、怒っている人も笑顔になるかもしれません。
一緒に遊べるような雰囲気であれば、やってみても良いかもしれません。
対処法としていくつか紹介しましたが、鏡を見せてはいけないと言ってきた人との続柄によっても、選べる選択肢は変わってきます。
実の両親や自分の身内であれば比較的言いたい事も言いやすいですが、義理の親や相手方の親戚などが相手では、なかなか思っていても口に出せないですよね。
赤ちゃんに鏡を見せてはいけないという話は、元々は赤ちゃんを危険から守るために考えられたものだと思いますので、「赤ちゃんに危険がないように忠告してくれている」と思えば、少しは穏便にやり過ごせるかもしれません。
赤ちゃんに鏡を見せた時の反応いろいろ
赤ちゃんに鏡を見せると実にさまざまな反応を見せてくれるので、見ていて飽きません。
- 笑う
鏡を見せると笑顔になる赤ちゃんが多いです。
赤ちゃん自身の顔が映っているのを見て笑うこともありますし、鏡に映るママやパパの顔を見て笑ってくれる事もあります。
- キスをする
ダントツに可愛い仕草です。
鏡に映った自分にチュッとキスをする赤ちゃんも多いですが、可愛すぎて写真をたくさん撮っています。
- 声を発する
歓声をあげたり、悲鳴をあげたりする赤ちゃんもいますし、奇声や大声を発する赤ちゃんもいます。
また、鏡に映る自分に向かって話しかけている事もあります。
抑揚のある喃語で喋っていることも多々あり、「いま文句を言っているのかな」「嬉しそうにお話しているな」と、見ているママも笑顔になります。
- 触る
鏡に映る自分に向かって手を伸ばしたり、つんつんとつついてみたり、手で叩いてみたりする赤ちゃんもいます。
抱きつこうとして近づいたものの、触れずに怒る赤ちゃんもいます。
また、なかには噛んだり、頬ずりをしたり、頭突きをしたりする赤ちゃんもいるようです。
- ポーズをとる
鏡を見ながらポーズをとる赤ちゃんもいるようで、鏡に映っているのが自分だと認識しているのでしょうか。
我が子が鏡を見ながらポーズをとっている姿を想像すると、何だか微笑ましいですね。
赤ちゃんによって、本当にさまざまな反応を示してくれます。
赤ちゃんは鏡を見てなぜ笑う?
赤ちゃんの月齢にもよりますが、多くの赤ちゃんは鏡に映る姿を自分の姿だとは認識できていません。
では、なぜ鏡を見ると笑顔になるのでしょうか。
- ほかの赤ちゃんが気になる
お出かけの時や乳児健診の時など、ほかの赤ちゃんをじーっと見つめている事はないでしょうか?
赤ちゃんは、ほかの赤ちゃんのことがとても気になります。
鏡に映る姿が自分だという自覚もないので、鏡に映る赤ちゃんを興味の対象として捉えているのです。
自分が動くと鏡に映っている赤ちゃんも同じように動くため、余計に気になります。
そして話しかけたり、触ってみようと手を伸ばしたりします。
- 鏡の中の赤ちゃんの笑顔に応えている
赤ちゃんは、人の笑顔を見て学習する事で上手に笑えるようになります。
赤ちゃんが鏡に笑いかけると、鏡の中の自分も笑顔になります。
すると、ほかの赤ちゃんが笑ってくれたと赤ちゃん自身が感じて、その笑顔に反応して笑顔を返すようになります。
人の脳は真似をする事で発達していくため、笑顔を見ると赤ちゃんも真似をして笑顔になります。
ミラーニューロンの働き
赤ちゃんの脳には、真似する事を助ける働きをもつミラーニューロンというものが存在します。
ミラーニューロンは新生児の頃から備わっており、生後6ヶ月頃までがピークと言われています。
赤ちゃんは人の真似をすることで多くのことを学んでいきますが、人の気持ちに共感できるようになる、思いやりを持てるなど、ミラーニューロンには真似をする以外の働きも備わっているのです。
新生児の頃から赤ちゃんに笑顔をたくさん見せたり、いろいろな場面や行動などを見せたりすることで、表現や表情が豊かな子供に育っていきます。
鏡に映る赤ちゃんを自分だと自覚できるのは?
鏡に映る姿は自分の姿だと自覚出来るようになるのは、赤ちゃんによってかなり個人差があります。
多くの赤ちゃんは、生後6ヶ月頃から1歳半頃までの間に自覚できるようになります。
自覚できるようになったと判断するには?
赤ちゃんが鏡に映る赤ちゃんを自分だと認識出来るようになったかどうかは、下記の方法で調べることが出来ます。
ダブルスクリーンテスト
ビデオカメラなどの画面を2つ用意して、そのうちの1つで赤ちゃんの動きの中継映像を流します。
もう1つの画面では、中継映像より少し遅らせた映像を流します。
赤ちゃんがどちらの画面をより長く見ているかによって、鏡に映る自己を認識できているか調べることが出来ます。
自己を認識できている赤ちゃんは、自分の動作よりも少し遅れて動く画面に違和感を覚えるため、遅れた映像の方を長く見つめます。
マークテスト
赤ちゃんに気付かれないように、赤ちゃんの鼻や頬などにシールを貼って鏡の前に連れていきます。
赤ちゃんが鏡を見た時の反応を調べるテストですが、鏡を見て自分の頬や鼻を触ろうとしたり、シールを剥がそうとしたりする様子があれば、鏡に映る自己を認識できていると考えられます。
同じやり方でシールではなく、口紅をこっそりと赤ちゃんにつけて行う検査もあり、ルージュテストと呼ばれます。
赤ちゃんは鏡に映る自分に手を伸ばして、実際に触れないことや本物の人間とは違うことを学んでいきます。
それを繰り返し、月齢が進んでいくにつれて鏡に映る赤ちゃんが自分だと理解できるようになり、自分と他人との区別がつくようになります。
自分を認識できるようになることで、自我が芽生えていくのです。
赤ちゃんが鏡を見ても笑わない理由は?
赤ちゃんは鏡を見ると笑う、という認識が広まったためか、「うちの子は鏡に興味がない。大丈夫かな・・・」と心配をするママも増えました。
確かに多くの赤ちゃんは鏡を見て笑い、興味を示しますが、なかには鏡を見ても笑わない赤ちゃんもいます。
まだ月齢が低い、赤ちゃんの性格にもよるなど、鏡を見て笑わないからといって過度に心配する必要はありません。
鏡に興味がないのは自閉症の疑い?
赤ちゃんが鏡を見て笑わないと、自閉症を疑うママがいます。
確かに自閉症の症状の1つとして鏡に興味を示さないことが挙げられますが、あくまでも症状の1つであり、そのことだけで自閉症であるという判断は出来ません。
そのほかの症状はないか、症状があればどんな症状かなどを確認した上で総合的に判断する事になりますが、1歳半健診の時にはまだ分からない場合も多いです。
3歳頃になってやっと判断できたという話も珍しくありません。
そして「赤ちゃんに鏡を見せると自閉症になる」と思っているママもいるようですが、自閉症は先天性の障害です。
鏡を見せたことによって後天的に何らかの障害が発生する事は確認されていません。
自閉症の発症率は軽度のものを含めると100人に1人から5人くらいの割合で発症すると考えられていますが、身内に自閉症の人がいない場合の発症率は約0.2%と言われています。
鏡を見て笑わない以外にも、自閉症に当てはまるような症状が複数見つかった時には、専門機関への相談を検討しても良いかもしれません。
1つの症状だけを気にして自閉症ではないかと思うのは、取り越し苦労になる場合が多いので、その子の個性だと思って気にしすぎないことをおすすめします。
親である私たちもそうですが、赤ちゃんの性格も十人十色でみんな違います。
鏡を使った遊び方
赤ちゃんが大好きな鏡を使って、赤ちゃんが喜ぶ遊びを一緒にしてみませんか?
- いないいないばぁ
赤ちゃんは「いないいないばぁ」が大好きです。
普通にやっても喜びますが、赤ちゃんを鏡の前に座らせてママが自分の顔を隠してみたり、赤ちゃんの顔を隠したりして「いないいないばぁ」をすると喜びます。
ハンカチなどを使って顔を隠しても良いと思います。
赤ちゃんによっては、目や顔を隠されることを嫌う場合がありますので、嫌がる子にはママの顔を隠すようにしてみて下さい。
- 鏡に映る赤ちゃんに向かって笑いかける
我が家の次男が好きな遊びですが、次男の前に鏡を置いて、鏡に映る次男に向かって笑いかけます。
すると次男も笑い返してくれるので、鏡の角度を少しずつ変えていき、色々な角度から笑いかけたり、鏡との距離を変えてみたりしながら遊んでいます。
自分はママの方を向いていないのにママが見えるのが不思議、という様子で鏡の動きを目で追っています。
- 鏡を見ながら赤ちゃんの身体を触る
赤ちゃんを鏡の前に座らせて、鏡を見せながら赤ちゃんの身体を触っていきます。
「これは頬、これは頭・・・」など、身体を触りながら優しく語り掛けます。
赤ちゃんへの語り掛けをたくさんすることで、赤ちゃんも喜びますし、言葉の習得や豊かな表現力を身に付ける手助けにもなります。
- ベッドメリーを見せる
ベッドメリーには、鏡のおもちゃがついているものが多くあります。
ねんねの時にメリーの動きを目で追う赤ちゃんは多いですが、覚醒している時にもメリーを動かすと喜ぶ赤ちゃんもいます。
動く鏡のおもちゃをじっと見たり、手を伸ばしたり、時には噛んだりして遊びます。
最近では、成長に合わせて何通りもの使い方が出来るタイプのメリーも増えました。
- うつ伏せにした視線の先に鏡を置く
首が座っている赤ちゃんをうつ伏せにすると、必死で頭を持ち上げようとします。
一生懸命頭を持ち上げた先に鏡があると、きょとんとして鏡を見つめます。
我が家の次男は、「何でこんなところに誰かいるの?」とでも言っているように鏡を見つめ、すぐにパタンと顔を地面についてしまいます。
そしてまた顔を上げて鏡をみて、また地面につけての繰り返しですが、本人は楽しいようでニヤリと笑っています。
- ベッドから見える位置に鏡を置く
泣いてぐずっている赤ちゃんも、見える位置に鏡が置いてあると機嫌が良くなります。
赤ちゃんが眠る場所の近くに鏡を置いておくだけで遊びになり、赤ちゃんも喜びます。
ただし、風水的には寝ている姿を鏡に映すのは良くないことだとされていますので、気になる場合は使用する時以外は鏡にカバーなどをかけておくと良いでしょう。
同じく合わせ鏡も良くないと言われています。
赤ちゃんが遊ぶための鏡はどんなものでも構いませんが、割れる危険のないソフトミラーが安心です。
またコンパクトミラーを常備しておけば、外出先や移動時などに赤ちゃんの機嫌が悪くなった時、さっと鏡を取り出してあやす事が出来ます。
外出や健診の時のために、私は鞄にいつもコンパクトミラーを入れています。
赤ちゃんに鏡を見せることは、自己と他者との区別がつくようになるほか、脳の刺激にもなり発達に良い影響を与えます。
積極的に鏡を使って赤ちゃんと遊ぶようにしてみましょう。
鏡を使った遊び方はいろいろ、赤ちゃんの好きな遊びを見つけて楽しもう
鏡を使ったいろいろな方法で赤ちゃんと遊んでいるママが多いと思いますが、すごく好評だった遊びも次の時には全く興味を示さないなんて事も多いですよね。
好きな遊びのツボが一貫している赤ちゃんもいれば、毎回好きな遊びが変わる赤ちゃんもいます。
ほんの少しやり方を変えるだけでも妙にうける事もあり、私は赤ちゃんに試されているように感じる事もあります。
でも、赤ちゃんのために遊びの試行錯誤をするのも、親子の大切なスキンシップです。
鏡の種類を変えたり、やり方を変えたりしながら、赤ちゃんの好きな遊びを見つけてママも一緒に楽しめると良いですね。
コメント
NEWSWEEK子育て特集に鏡が刺激になって良いと
記載がありました。
子育ては時代によって変わりますね
情報ありがとうございます。
科学的なデータや検証をしてみると今までと真逆の真実が出てくることもありますよね。
他にも迷信はありそうです^^