子育て中のママやパパは、赤ちゃんが咳をしていると気になりますよね。
元気があり、具合も悪くないようであれば自宅で様子をみているママも多いと思います。
でも、あまりにも咳が長引くと「うちの子、病気なのかな?」「のどが痛いのかな」と、心配が尽きません。
そこで、今回は赤ちゃんの咳が長く続く原因は何なのか、どうやって対処したらよいか紹介します。
赤ちゃんの咳は体調が悪くなっているサイン?
そもそも、咳はなぜ出るのでしょうか。
まず、咳には気管が関係しているところから説明します。
大人の気管の太さがホースくらいだとすると、赤ちゃんの気管はホースを指で押し潰したような太さです。
空気が通り抜ける気道が狭いため、大人の気道ならすり抜けるような、細かい異物にも反応します。
赤ちゃんは大人より咳が出やすいと言われており、赤ちゃんの咳の多くは、呼吸器に入り込んだウィルスや細菌、アレルギー物質、埃などの異物を外に押し出そうとする反射なのです。
つまり、咳が出るということは、体の中に何か異常があるというサインでもあります。
赤ちゃんの咳は夜でやすい?
昼間は咳も少なく比較的落ち着いているのに、夜になると咳がひどくなる事がよくあります。
これには、交感神経と副交感神経という自律神経が大きく関わっています。
交感神経
体を活発にする働きがあり、気管や鼻腔、喉の粘膜を緊張させて咳や鼻水を抑制します。
副交感神経
緊張を和らげ体をリラックスさせる働きがあり、気管や鼻腔、喉の粘膜の緊張を和らげるため、咳や鼻水がひどくなります。
赤ちゃんの気道は抵抗力が弱く敏感なため、炎症を起こしやすいです。
そして、大人と比べて子どもは痰が多く作られますが、上手く痰を出せず、痰を出そうとする刺激によって咳が出ます。
眠っている間にせき込む子どもも多いですが、多量の鼻水が喉の方へ流れていき、咳がひどくなります。
赤ちゃんの咳の種類
赤ちゃんの咳をよく聞いていると、毎回同じ咳ではないと思います。
軽い感じの「コンコン」という咳をしている事もあれば、「ゴホゴホ」と痰が絡んだような咳をする事もあります。
ここでは、赤ちゃんの咳の種類を見ていきましょう。
乾いたような咳
乾いた感じの「コンコン」とした咳のことを乾性咳嗽(かんせいがいそう)と呼びます。
ウィルス感染により風邪をひくと、喉や鼻に炎症反応が起きて咳が出ます。
のど風邪という言い方もしますが、炎症がひどくなくて痰も出にくいという特徴があります。
稀に「ケンケン」「キャンキャン」と犬の鳴き声のような咳が出る場合があり、犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)と呼ばれています。
痰が絡んだような咳
痰が絡んだ「ゴホンゴホン」という湿った咳は湿性咳嗽(しっせいがいそう)と呼ばれています。
ウィルス感染により風邪をひくと鼻水で鼻が詰まり、それが喉へ流れていく事で痰が絡んだ湿った咳になります。
はじめはコンコンという咳だったのに、ゴホンゴホンという咳に変わってきたら、風邪が長引いている証拠です。
透明だった鼻水や痰も、風邪が長引くと緑色や黄色へ変化していきます。
これは、何らかの細菌感染をしている場合があり、気管支炎などの病気にかかっている可能性もあります。
喘鳴と咳
咳が長引くと、痰絡みの咳が頻繁に聞かれるようになったり、赤ちゃんが呼吸をする時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音が聞こえたりする事があります。
このような音がする呼吸状態は喘鳴(ぜいめい、ぜんめい)と呼ばれており、鼻腔から気管支までの空気の通り道が狭くなる事によって生じます。
喘鳴は喘息の症状の1つでもあるため、聞いた事があるママも多いと思います。
「うちの子がゼーゼーしているから、喘息かもしれない。」
と思いがちですが、1回ゼーゼーしただけでは喘息とは診断されません。
喘息かどうかは、医師が呼吸状態や症状をみて慎重に判断します。
喘鳴も、上気道の空気の流れが悪くなり「ゼロゼロ」「ゼーゼー」とした喘鳴が聞かれる吸気性喘鳴と下気道の空気の流れが悪くなり「ゼーゼー」「ヒューヒュー」とした喘鳴が聞かれる呼気性喘鳴の2種類に分類されます。
赤ちゃんの咳が長く続く場合の考えられる病気と特徴や咳以外の症状
赤ちゃんの咳が長引く時には、何らかの病気が隠れている場合があります。
考えられる病気とその特徴をまとめました。
普通感冒(かぜ症候群)
一般的な「風邪」です。
鼻から入り込んだウィルスに感染する事で発症します。
咳や鼻水、鼻詰まりなどの症状がみられます。
乳幼児から大人まで、誰でもかかる一般的な病気です。
気管支炎
気管支が炎症を起こしている状態で、急性と慢性があります。
発熱から始まり、乾いた咳から湿った咳に移行していきます。
気管支炎の多くはウィルスによる感染が原因で、高熱で膿に似た痰(膿性痰)がみられた時には、何らかの細菌に感染している可能性があります。
また、乳幼児の気管支炎の半数以上はRSウィルスが原因だと言われており、RSウィルスの流行期と言われる12月から3月頃は特に注意が必要です。
RSウィルス感染症
主な症状は、湿った咳、発熱、鼻水、喘鳴などですが、呼吸困難や突然死を引き起こす事もある恐い病気です。
大人や2歳以上の幼児は、RSウィルスに感染しても風邪に似た症状だけで済む事が多く、重症にはなりにくいです。
しかし乳児が感染すると重症化しやすく、入院が必要となるケースも少なくありません。
ひどくなると細気管支炎や肺炎などの重い病気にかかったり、喘息を引き起こしたりする場合があります。
次男がまさにそうでした。
我が家の体験談を少しご紹介します。
- 5歳の上の子の咳が治らず発熱もあり、受診にて風邪との診断。
- 翌週から3か月の次男も乾いた咳や湿った咳が出始め、3日後に発熱して受診。
- 受診翌日に解熱するも咳あり、食欲もなく真夜中に再び発熱、小児電話相談へ電話。
- 早朝に受診するとRSと診断され、7日間入院。
入院中に看護師さんから聞いた話ですが、上の子が風邪かと思ったら実はRSウィルスで、知らない間に乳児に感染している事も少なくないそうです。
そして、2歳以上になると医療機関でもRSの検査はしない場合が多いとの事で、乳児のいる家庭で上の子がいる場合は、乳児への感染を防ぐのは難しいということです。
まずは、上の子が病気にかからない、病気を持ち込まないようにする事が大切です。
クループ症候群
犬吠様咳嗽が特徴で、喉に炎症を起こして呼吸困難を引き起こす事があります。
乳児に多くみられ、咳、鼻水などの風邪症状に続いて起こります。
肺炎
肺に炎症が起き、咳や発熱、呼吸苦などが主症状です。
咳と熱が4日以上続く場合が多いようです。
また、肺炎の原因となるウィルスや細菌は年齢によって異なります。
新生児・・・B群連鎖球菌、腸内細菌など。
1~2歳・・・インフルエンザ菌、肺炎球菌など。
2~6歳・・・インフルエンザ金、肺炎球菌、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアなど。
6歳以降・・・肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジアなど。
初期は肺炎と気付きにくく、風邪と診断される場合もあります。
長男がそうでしたが、断続的に発熱を繰り返しながら2週間以上咳が続き、レントゲンを撮った時には肺がかなり白くなっていました。
それまでに数回受診をしましたが、レントゲンを撮るまでは分からなかったようです。
体内の酸素濃度を示すSPO2も70%台まで低下していて、10日間入院しました。
マイコプラズマによる肺炎で、喘息の診断もされた事があります。
乳幼児はマイコプラズマによる肺炎が多く、流行期もRSウィルスとほぼ同じですので、冬期間は人混みを避けて、手洗いやマスクなどでしっかり予防する事が肝心です。
副鼻腔炎
副鼻腔と呼ばれる鼻の穴の周囲にある空洞部分がウィルスにより炎症を起こし、痰絡みの咳、黄色や黄緑色の鼻水、鼻詰まり、微熱などの症状がみられます。
風邪などにより一時的に発症する急性副鼻腔炎と、急性副鼻腔炎を何度も繰り返す慢性副鼻腔炎があります。
慢性副鼻腔炎は蓄膿症とも呼ばれ、中耳炎を併発する危険性があります。
赤ちゃんは副鼻腔の形成が未熟なため、生後6ヶ月頃から副鼻腔炎を発症します。
百日咳
百日咳菌という最近に感染する事で発症します。
三種または四種混合ワクチンの接種率が上がってきているので患者は減少傾向にありますが、初期の症状は咳や鼻水、くしゃみなど風邪と変わらないため判断が難しい場合があります。
感染力が強く、パパやママの咳が長引いていたら子供も咳をするようになり、気になって受診をしたら百日咳だったという事例もあります。
近年は乳幼児よりも大人の発症率が高くなっていますが、乳幼児が感染すると肺炎や脳症を併発する事もあり得ます。
症状としては、短い間隔で連続して咳が出るスタッカート、息を吸い込んだ時にヒューという笛の音に似たフーピングと呼ばれる呼吸音がします。
息を吐く時にヒューと呼吸音がする喘息とは違い、百日咳では息を吸い込みながらヒューという音が聞こえるのが特徴です。
発作性の咳を繰り返し、完治までに2~3ヶ月の期間を要す理由から百日咳と名付けられました。
アレルギー反応の可能性もあります
長く続く咳は、アレルギー反応を起こしているサインとなっている場合があります。
咳をしていても元気で食欲もあり、病気の様子がない時は、空気の乾燥や埃、ハウスダストが原因となっている可能性があります。
放置すると、アレルギー症状を引き起こしたり、喘息の原因となったりすることがあります。
また、咳は明け方や季節の変わり目、冷気に触れた時などにひどくなる傾向があります。
咳の継続期間による分類
咳をしている期間によって、下記の3種類に分類されます。
- 急性の咳・・・3週間未満で落ち着く咳
- 遷延性の咳・・・3~8週間で落ち着く咳
- 慢性の咳・・・8週間以上継続する咳
赤ちゃんの咳が続いている時の注意点
赤ちゃんが咳をしている時、部屋の環境によっては咳を悪化させる事もあります。
埃やハウスダストなどのアレルゲンを除去するために、赤ちゃんが過ごす部屋の清掃をこまめに行い、加湿器などを使用して部屋の湿度を50~60%程度に保つようにします。
また、タバコの煙は咳を悪化させるため、室内での喫煙は避けます。
咳や鼻詰まりがひどい時の対処法
咳がひどい時には、お茶などの水分を少量ずつ数回に分けて飲ませると楽になります。
横になっている時に激しく咳が出るようであれば、抱き上げて縦抱きにしたり、上半身を起こしたりする事も有効な方法です。
上半身を起こす事で気管や肺の圧迫を避け、痰を出やすくする効果があります。
タオルで上半身を高くしても、すぐにコロンとタオルから頭が落ちてしまうため、私は授乳クッションに子どもの頭を乗せて寝かせていた事があります。
両側から支えられるため、寝相が悪くてもずり落ちにくいです。
1歳を過ぎているようであれば、角切りにした大根を蜂蜜で漬けて、そのシロップを飲ませると咳が落ち着いてくるそうです。
蜂蜜には咳を鎮める作用があり、昔から行われている方法ですが、1歳未満の乳児には蜂蜜をあげてはいけません。
咳が出る時は入浴を避けた方が良いと言われた時期もありましたが、入浴する事で喉や鼻の通りが良くなり楽になる事から、入浴できる状態であれば入浴をした方が良いようです。
咳は体内の異物を出そうとする反射ですので、咳止めを内服する事で症状が悪化する場合があります。
薬の投与は医師に相談してから行う事が望ましいです。
上半身を高くする事は、鼻水や鼻詰まりの対策としても有効です。
鼻吸い器で吸ったり、鼻の通りを良くする塗り薬を使用したりしても良いと思います。
濡らしたハンカチやタオルを絞ってビニール袋に入れてレンジで加熱し、湯気を鼻に近づけると鼻の通りが良くなると看護師さんからアドバイスを貰いました。
子どもにマスクを着用させる事も感染防止や保湿のために有効ですが、乳幼児は鼻を塞いでしまうと危険なため、マスクは避けるようにします。
病院に行く判断をする目安
赤ちゃんの症状が咳だけだと受診をする事も躊躇われますが、風邪が引き金でほかの病気にかかる事もあるので、下記のような症状がみられたら受診を検討しましょう。
- 咳が1週間以上続いている。
- 高熱と咳が4日以上続いている。
- ケンケンという咳をしている。
- 唇や手足などが紫色に変色している。
- 意識がはっきりしない、意識障害がみられる。
- ぐったりしていて水分摂取が出来ない状態が続いている。
受診をする時には熱や咳、鼻水など以外にどんな症状がいつからあるのか、どんな時に症状が出るのかなどを医師に伝えられるようにしておくと診断の参考になります。
赤ちゃんの咳が続くようなら悩まず受診しよう
赤ちゃんは体も小さく未熟で、抵抗力や免疫も弱いです。
何か病気にかかっても典型的な症状が出ない事も多く、風邪だと診断される事も少なくありません。
「ただ咳が続いているだけだし・・・」
と、受診を躊躇する事もありますが、ママも心配し続けるより受診をした方が安心ですし、処方薬で症状が和らぐのであれば、赤ちゃんのためにもなりますよね。
病状が悪化して入院にならないように、咳が続いている時には受診を考えてみて下さい。
咳や鼻水、鼻詰まりがあると赤ちゃんの機嫌も悪く、夜もほとんど眠れないためママも大変です。
具合が悪いと赤ちゃんも不安を感じるため、ママは大変ですが赤ちゃんのそばにいて安心できるようにします。
辛そうな時には抱きしめたり、背中をさすったりと、赤ちゃんが少しでも楽になるように考えて下さい。
また、日頃からこまめな清掃や温度、湿度の管理などの環境整備を行い、赤ちゃんが咳をせずに健康で過ごせるようにしましょう。
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