病院で「風邪」と言われた娘たち、その後薬を飲んでも症状はよくならず、ぐずる子供たちをなんとか寝かしつけてほっと一息…。
寝室から聞こえる2人の寝息で「あれ、呼吸が苦しそうだな」と気付きました。
そういえば、寝就く頃から長女は痰が絡んだ咳を連発し、次女は抱きあげるとゼーゼーと背中に響く苦しそうな呼吸をしていました。
朝を迎えると、2人とも昨夜より明らかに症状が悪化していました。小児科へと急いで行くと、姉妹で気管支炎と診断されました。
赤ちゃんは風邪を引きやすいとはいえ、風邪から気管支炎に移行することがあります。
そこで今回は、気管支炎についてまとめました。
赤ちゃんの気管支炎とは?
赤ちゃんの風邪が長引いているなと思い、病院を受診して「気管支炎ですね」と診断された経験のあるママは多いのではないでしょうか。
気管支炎とは、細菌やウィルスによる炎症が気管支に進んで起こる病気です。本来、喉元で止まる風邪の細菌やウィルスが喉よりも奥にある気管支まで行くことで、症状が悪化することがあります。
気管支の粘膜に炎症が起こる気管支炎は、急性気管支炎と慢性気管支炎にわけられます。
急性気管支炎と慢性気管支炎の違い
突発的に起こる気管支炎を急性気管支炎といい、数ヶ月以上咳や痰など呼吸器症状が続くものを慢性気管支炎といいます。
赤ちゃんが慢性気管支炎になることはまれで、ほとんどの場合が急性気管支炎です。
急性気管支炎の特徴
- 突発的に起こる
- ほとんどの原因がウィルス感染
- 風邪の延長線で罹ることが多い
慢性気管支炎の特徴
- 気管支炎の症状が数ヶ月続く
- 稀に赤ちゃんが慢性気管支炎になることがある
- アレルギーや環境が原因となる場合が多い
風邪とRSウィルス、気管支炎の違いと見分け方
RSウィルスは、冬になると流行る呼吸器感染症で、いわゆる「風邪」の原因ウィルスの1つです。RSウィルスが原因で、風邪から気管支炎に移行する場合もあります。
赤ちゃんがRSウィルスに感染した場合、最初の症状は鼻水や発熱、咳が2~3日続きます。
初めてRSウィルスに感染する赤ちゃんのほとんどが、鼻水や発熱の初期症状が数日で収まるため、「風邪だったのかな?」という程度で、自宅で様子をみることも出来ます。
しかし、約3割の赤ちゃんは鼻水や発熱の初期症状から、徐々に咳がひどくなり、気管支炎や肺炎などに移行してしまう場合があります。
「あれ?風邪かな?」という症状で治ればいいのですが、2~3日しても症状が改善しない場合や、酷くなっていく場合には、出来るだけ早めに小児科を受診するようにしましょう。
RSウィルスの症状
- 潜伏期間は約4~6日
- 軽い鼻水から始まり、その後発熱し、最後に咳が出る
- 初期症状から2~3日で気管支が詰まり、症状が酷くなる
- 呼気性喘鳴が見られる(ゼーゼー、ヒューヒューする呼吸)
- 急激に症状が悪化する場合もある
RSウィルスの怖いところは、大人が感染しても症状は「鼻水が出るな」という程度の風邪症状しかないところで、知らない間に赤ちゃんへうつしてしまう可能性があります。
特に生後6ヶ月未満の赤ちゃんが感染した場合は悪化しやすく、呼吸器に症状が強く見られるため、苦しそうな喘鳴から、お腹や胸がペコペコへこむ陥没呼吸をする場合があり、チアノーゼや無呼吸を引き起こす場合があります。入院治療が必要になる場合もあります。
風邪と同じような症状から始まるため、RSウィルスが原因なのか素人には見分けがつきません。
赤ちゃんの症状をよく見て、早めに小児科を受診するなど対処するようにしましょう。
赤ちゃんが気管支炎になる原因
赤ちゃんが気管支炎になる原因は細菌やウィルス感染と、環境が原因となる場合があります。
気管支炎の原因になる代表的なウィルスと細菌
- RSウィルス
- インフルエンザ
- アデノウィルス
- 風疹や麻疹の原因になるウィルス
- 百日咳菌
環境が原因で気管支炎になる場合
- 受動喫煙
- 大気汚染や空気が汚れている場所
- アレルギー症状によるもの(喘息など)
環境が原因となる場合もありますが、赤ちゃんの気管支炎のほとんどが、細菌やウィルスによる感染が原因になります。
風邪の原因となる菌やウィルスでもあるため、「風邪かな?」と思ったら気管支炎に移行しないように注意することが大切です。
赤ちゃんが気管支炎になった時の症状
赤ちゃんが気管支炎になるまで、何段階か症状の特徴で分けられます。
1.はじまりは上気道炎症状
- 鼻水やくしゃみなど、鼻風邪の症状
- 咽頭痛
- 発熱
- 倦怠感
これらの症状が、複合的に出るときもあります。
2.2~3日で症状が悪化し始めて呼吸器症状が目立つようになる
- 激しい咳(乾いた咳から痰がからんだような咳になる)
- 痰
熱は3日程度で下がりますが、気管支炎の症状の特徴として、炎症が進むにつれて咳に変化が見られます。ゼーゼー・ヒューヒューといった呼吸が始まり、背中に手を当てるとゼーゼーと背中が鳴っているように感じる場合もあります。
症状が悪化すると、チアノーゼを起こしたり、入院が必要になったりする場合もあります。
咳が激しくなることで、寝つきが悪くなったり、眠れなくなったりします。食欲の低下や嘔吐することもあります。
気管支の炎症が落ち着くまで、咳は1~2週間ほど続くことがあります。
赤ちゃんの気管支炎は熱が出ないことがある?
気管支炎は熱が出るなどの症状では判断が難しいものです。38度以上の高熱になる場合もありますが、微熱程度で収まることもあり、熱が出たからといって気管支炎に移行するわけでもなく、気管支炎になったから熱が上がるということもありません。
私の子供たちの場合、長女が風邪をひいて体温が39度前後の日が続いていました。咳が段々と酷くなり、熱も下がらず病院を受診すると気管支炎と診断されました。
同じ頃、長女の風邪がうつった次女は体温が37度程度(生後3ヶ月の頃なのでほぼ平熱です)でしたが、咳がひどく、長女の診察と一緒に見て貰うと、次女も気管支炎になっていました。
おそらく同じ風邪ウィルスに感染していたと思われる姉妹でも、熱が出たり出なかったりでは判断出来ないので、全体的な症状の特徴を把握することが大切だと実感しました。
長引くと細気管支炎や肺炎の恐れがある?
咳などの症状がある風邪は喉元~上気道の部分に炎症が起きている状態です。
上気道よりさらに先に進んだ部分の気管支に炎症が起きると、気管支炎と診断されます。
では、気管支炎が長引いている場合、気管支よりさらに先にある細気管支や肺にウィルスや菌が進み、細気管支炎や肺炎になるのかというと、必ずしもそういうわけでもありません。
気管支炎と診断された段階で適切な治療が出来ていて、症状がさらに悪化しているわけでなければ、気管支炎の咳が長引いているだけの状態といわれています。
(気管支炎の咳は1~2週間続くことがあります)
ですが、「ただの咳だから」と放っておくと、菌やウィルスは気管支より奥の細気管支や肺に侵入して、細気管支炎や肺炎になる可能性があります。
特に赤ちゃんの場合は注意が必要で、長引いているかどうかより、以前より症状が悪化していないかということに注目します。
気管支炎で咳や発熱が続き体力が消耗すると、細気管支炎や肺炎になる可能性が大きくなるので、赤ちゃんの状態をしっかりと把握し適切な判断をすることが大切です。
細気管支炎はこんな病気
大人がかかることは稀なので、あまり聞き慣れない名前の病気ですが、赤ちゃんがかかり易い病気の1つです。
細気管支という部分に炎症が起きることが原因の病気ですが、赤ちゃんは細気管支や肺の機能が未熟な上に、菌やウィルスに対する抵抗力も弱いため、細気管支炎を発症しやすいといわれています。
特に、2歳未満の赤ちゃんがかかりやすく、生後6ヶ月未満の赤ちゃんに多く重症化しやすいという特徴があります。
細気管支炎の原因ウィルスのほとんどが、RSウィルスですが、気管支炎と同様にアデノウィルスやインフルエンザなども原因となる場合があります。
赤ちゃんの気管支炎は入院が必要?
必ずしも気管支炎で入院になるわけではありません。
- 水分が取れていない
- 高熱が続く
- 呼吸困難
- チアノーゼが出る
上記のような状況になると、入院が必要となる場合があります。
私の娘が先日、姉妹で同時に気管支炎と診断された際、高熱が続いていて体力が消耗していて、明らかに弱っている長女より、咳はひどいけど熱はなく一見元気そうに見える次女は入院が必要と診断されました。
次女の場合は、月齢が低かったことと、咳がひどく上手くおっぱいを飲めていなかったことで脱水症状も進んでいました。それと、「咳がひどい」と感じる程度でしたが、診察を受けると呼気性喘鳴で上手に呼吸が出来ず、チアノーゼが出ていると診断されたことからも、入院が必要だったようです。
気管支炎は保育園でうつる可能性がある?
気管支炎の原因となるウィルスや菌は、保育園でもうつる可能性のあるありふれたウィルスや菌です。
特に冬に集団生活で感染しやすい、インフルエンザウィルスやRSウィルスが原因になる場合もあります。
保育園で赤ちゃんや子供たちのくしゃみや咳でウィルスが飛び飛沫感染することや、おもちゃの共有で接触感染することが考えられます。
特に、くしゃみや咳をするときに手で口を押さえられない赤ちゃんや、マスクが出来ない赤ちゃんは集団生活で感染する可能性も高くなります。
気管支炎の時はどのくらい保育園を休めばいい?
風邪が気管支炎に移行すると、酷い咳の症状が2~3日続きます。
保育園を休む目安は大体1週間ほどになりますが、気管支炎の咳はピークを過ぎても1~2週間は続く場合がありますので、保育園に復帰する際には医師に相談するようにします。
咳は思いのほか体力も消耗します。抵抗力が弱っている状態で保育園に行くと、症状が悪化したり、他の病気がうつったりする可能性もあります。
また、子供は少しくらい体調が悪くても元気に動きまわることがあります。
保育園に復帰しても、咳や鼻水が続いている場合は様子を見て、外遊びやお散歩は避けるように先生に相談するといいでしょう。
赤ちゃんの気管支炎の治し方
気管支炎を直接治す薬はなく、鼻水や痰を出しやすくする薬や、呼吸が楽になるような気管支拡張剤などが処方され、基本的には対症療法となります。
自分の力で治るのを待つことになりますが、症状は大体1週間程度でよくなることが多いです。
家では赤ちゃんが出来るだけ過ごしやすくなるように環境を整えることが大切です。
赤ちゃんの気管支炎の家でのケアの注意点
室温や湿度に注意する
室温に変化があると、赤ちゃんは体温調節のために体力を使うことになりますので、出来るだけ室温は一定を保つように気をつけましょう。
湿度が低く乾燥している室内では、咳や鼻水が出やすくなるので、加湿器や洗濯物の室内干しで湿度を調節します。
こまめに水分補給をする
水分補給で喉の乾燥を防ぐことは咳に効果的です。また、痰の排出も助けてくれます。
熱が上がると水分もどんどん失われるので、こまめな水分補給を心がけましょう。
ミルクや母乳のみの時期の赤ちゃんでも水分補給のために経口補水液を使用出来ることがあるため、医師に相談してみましょう。
体調の変化に注意する
風邪の症状だけでも、咳がひどくなり苦しそうな呼吸を始めることがあります。
朝は鼻水だけだったのに、お昼過ぎに急に症状が悪化する可能性もあるため、赤ちゃんの体調をしっかり把握するようにします。
赤ちゃんの体調変化に日ごろから注意して元気に過ごそう
「ちょっと鼻水が出るなー」と思っても、「ただの風邪だろうな」と軽く受け流しがちです。そのままただの風邪で済めばいいのですが、「ただの風邪」の先には気管支炎や肺炎など症状がさらに悪化して赤ちゃんが辛い思いをする場合があります。
長女の風邪がうつっただけのただの風邪だろうと思っていた次女が、気管支炎で入院することになったとき「もっと気を付けて見ていれば」、「早めに対処出来ていたら酷くならなかっただろう」と後悔ばかりでした。
気管支炎は季節関係なく、1年中発症する可能性がある病気です。
ですが、原因となるウィルスの多くは寒くなる冬に集中します。
家での過ごし方も気をつけなくてはいけませんが、基本的な手洗いうがいや、体力を落とさないための規則正しい生活は、子どもだけでなく大人も気をつけて、赤ちゃんと一緒に元気に過ごせるようにしましょう。
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