抵抗力が弱い赤ちゃんが高熱を出すことは珍しいことではありません。
私の子どもも何度か高熱を出し、そのたびに何か病気だったらどうしよう…すぐに病院に受診しようかどうしようか、と何度も悩んだことがあります。
私の子どもが初めて熱を出した時は、夜間診療に駆け込みました。
赤ちゃんが高熱を出す病気と、高熱時の対処法・注意点をまとめました。
赤ちゃんの熱以外の症状を観察する
免疫力が低く、抵抗力も弱い赤ちゃんが熱を出すことは珍しいことではありません。
元々の体温が高い赤ちゃんが、39℃以上の高熱になってしまうことも少なくないので、慌てずに熱以外の症状がどうかも観察します。
全体的な状態はどうか見る
- ぐったりしていないか
- けいれんが出ていないか
- がたがたと震えていないか
- 顔が青白くないか
- 脱水症状は出ていないか(水分が取れているか)
熱以外の症状はどうか見る
- 下痢はしていないか(何回くらい?便の色は何色か)
- 嘔吐はしていないか
- 身体に発疹が出ていないか(いつから出たか、どこに出ているか)
- 痛がる場所はないか(喉や耳、首元など)
- 咳は出ていないか(咳の仕方はどんな感じか)
全体的な状態も、熱以外の症状も、いつからあるか・どれくらい続いているかを含めて記録するようにします。受診した際に、病名や治療法の判断材料になります。
高熱が出る病気と症状
赤ちゃんがかかりやすく高熱が出る病気にはいくつか代表的なものがあります。
突発性発疹
<症状>
- 急な発熱。高熱になることが多い。(38℃~40℃前後)
- 熱以外の症状がない場合が多く、高熱の割には元気がある。
- 高熱は比較的早く下がる。(約1~2日程度)
- 解熱と同時に体中に赤い発疹が広がる。(約2~3日程度で消失)
- 発疹が出ている間は不機嫌になる場合が多くある。(別名:不機嫌病とも言われている)
初めての発熱が突発性発疹だった、という話はよく聞きます。高熱が出ることも多いため、熱性痙攣に注意しましょう。
生後半年~1歳半の間にかかる場合が多く、3歳頃までにほとんどの赤ちゃんがかかる病気です。
発疹が出てからではないと、突発性発疹という診断が出来ず、対症療法しか手段がないため、熱以外の症状が特に見当たらない場合はホームケアで様子を見てもいいでしょう。
アデノウィルス
<症状>
- 喉が真っ赤に腫れる。
- 高熱が4~5日続く場合が多くある。
- 目が赤く腫れる。(結膜炎になる)
- 下痢、嘔吐が伴う場合がある。
「プール熱」とも呼ばれる、ウィルス性の病気です。
夏の病気として有名ですが、実は1年中かかる可能性があり、インフルエンザに次いで感染しやすい病気です。
風邪のような症状が続くため、ホームケアで対処してしまいがちですが、特に月齢の小さな赤ちゃんが感染した場合は、肺炎を引き起こすことがあり重症化しやすい病気のため早めの受診が必要です。
ヘルパンギーナ
<症状>
- 38℃~40℃の高熱が3日程度続く。
- 喉の奥が腫れ、水泡が沢山出来る。(2~3日続く)
- 水泡が潰れると口内炎のようになる。(約1週間で治る)
4歳以下の子どもが罹りやすい病気の1つです。
患者のほとんどが4歳以下の子どもと言われるくらい、小さい子どもの代表的な病気と言われています。
喉に出来る水泡が痛み、水分や食べ物を摂取したがらなくなります。
特に水泡が潰れたあと痛みが強くなるので、脱水症状に気をつけます。
診断がしやすい病気で、薬もあるため、熱が続き喉の腫れを確認したら早めの受診で痛みを和らげることが出来ます。
飛沫感染・接触感染が原因となるので、外出は控え、自宅はもちろん、赤ちゃんが使ったおもちゃや衣服の消毒をします。
特に赤ちゃんのよだれが付いたと思われるものは注意しましょう。
溶連菌感染
<症状>
- 高熱が出る。(39℃前後)
- 舌が腫れる。(イチゴ舌とも言われる)
- 嘔吐する場合もある。
- 痒みを伴う赤い発疹が全身に広がる。
- 解熱後に手足の皮がふやけたような状態になり、皮がめくれる場合がある。
4歳~小学校に通う子供で多い病気ですが、赤ちゃんが罹らない病気ではありません。
2歳以下では感染しても比較的症状が軽い場合が多いですが、肺炎や骨髄炎など他の病気の原因となってしまう場合があるので、注意が必要です。
抗生物質で治る病気なので、症状が見られたら早めに受診をしましょう。
インフルエンザ
<症状>
- 38~40℃前後の高熱が続く。
- 突然の発熱から高熱になる場合が多くある。
- 全身の嫌悪感、筋肉痛がある。
- 下痢や嘔吐する場合もある。
冬場に流行する代表的な病気です。
新生児から感染する可能性のある病気で、大人と同じように高熱になります。
1歳未満の赤ちゃんでも予防接種を受けることが出来ますが、医師に相談しても抗体が付きにくく症状が軽くなる程度と言われます。
まずは流行時期に外出を控えて家族からの感染を防ぐことをすすめられます。
インフルエンザ脳症など重症な合併症を引き起こす可能性があります。
赤ちゃんが感染した場合は、症状の変化に注意して診ます。
病院へいく判断は?
元気だった赤ちゃんの突然の発熱で、しかも急に熱が上がってしまった場合、すぐにでも病院に行かなくてはならないかというと、そういうわけではありません。
夜に急に熱が出ても夜間診療や救急診療に行かなければ!と焦る気持ちは分かりますが、まずは自宅で様子を見てみましょう。
高熱と重症度はあまり関係しないと言われています。
注目するのは、熱の上がり下がりなど体温の変化と、全身の状態です。
診断の参考になるので、検温をしたら時間と体温をメモしておくといいでしょう。
すぐに受診したい症状
- ぐったりとした様子が続いている。
- 意識が朦朧としている。
- 水分が一切取れない状態が続いている。
- 生後3ヶ月未満で39℃以上の発熱がある。
- 高熱が出ているのに、顔色が悪い状態が続いている。(顔面蒼白)
- 熱性けいれんしている。(必ずけいれんしていた時間を測る)
主に6歳以下の子どもで、高熱が出た際に起こりやすい症状です。
原因は分かっていませんが、男の子のほうが起こりやすいと言われています。
初めてけいれんした際はけいれんしていた時間を測り、救急車の要請し必ず受診するようにします。
けいれんしたときの様子、何分くらい続いたかなどを忘れずに記録しましょう。
携帯電話の動画で記録することも効果的です。
3分以上けいれんが続いた場合は後遺症の可能性があるためです。
高熱の効果的な冷やし方
効果的に赤ちゃんの身体を冷やす場合も、大人と同じで、身体の大きい血管が通っている場所を狙って冷やします。
- 首元
- 脇の下
- 足の付け根
などが冷やすのに効果があるといわれています。
しかし、じっとしていない赤ちゃんに対してこの場所を狙って冷やすことは大変ですよね。
赤ちゃんにも安心!しっかりと冷やす方法
①水に濡らして絞ったタオルをビニール袋に入れて凍らせます。
このとき、細長い状態にして冷やすようにします。
②凍ったものをガーゼなどで包み、スタイのように首に巻いてゴムで止めます。
必ず直接冷やさないようにし、冷たすぎないか確認します。
タオルを細長く凍らせることがポイントです!
細長く凍らせたものは、首だけでなく肩にぐるっと巻き付ける形で脇の下を冷やしたり、足に巻いて使用したりすることが出来ます。
おでこに冷却シートは効果なし。
おでこに貼る場合、解熱効果はなく、赤ちゃんが「気持ちいい」と感じることにメリットがあります。
解熱効果を得るためには、冷却シートをおでこではなく上記で挙げた首元や脇の下などに使用するようにします。
赤ちゃんの高熱の注意点
まずは安静に!水分補給に気をつける。
赤ちゃんの高熱はウィルスを殺そうとする防御反応です。
すぐに解熱剤は使用せず、発熱の様子を見ます。
大切なことは、食事よりも水分補給に注意することです。
経口補水液や赤ちゃんのイオンウォーターなどで水分補給することも出来ますが、赤ちゃんは一度に沢山飲むことが出来ません。
ティースプーン1杯ずつでもいいので、こまめに飲ませるように心がけます。
解熱剤の使用は必ず医師の判断で行い、処方されたものを使用しましょう。
赤ちゃんが安心してゆっくり休める環境を作る
高熱が出ていても、意外と元気に動いてしまうのが子供です。
寝ていれば治るのに…と思っても、赤ちゃんにはまだ理解が出来ません。
外出するわけにはいかないので、自宅でゆっくり出来る環境を整えます。
- 室温、湿度に注意する。
大人が体感しているよりも、熱が出ている赤ちゃんは室温が高すぎると感じているかもしれません。
汗をかいていないか注意して、少し室温を下げる工夫も必要です。
汗をかいたらこまめに拭きとり、洋服も交換しましょう。
逆に熱が上がっている最中は特に寒く感じる場合もあります。
衣類などで調整することも大事です。
乾燥しきった室内では、咳や鼻水・喉の痛みが悪化してしまう場合があります。
加湿器を付けたり、洗濯物を室内に干したりして部屋の室温にも気を配ります。
- 熱が出ていても遊びたい赤ちゃんには、無理なく遊べる工夫をする。
身体を使った遊びは控えるようにし、自宅で絵本を読んだり、ベランダで静かにシャボン玉をしたりしてゆったりと出来る遊びを選ぶようにします。
必ず休憩を取りながら、無理なく行います。
- 入浴は控える。
高熱が出ている間は、赤ちゃんはいつも以上に体力を消耗しています。
お風呂に入ることは赤ちゃんにとっては体力を使う行為になりますので、入浴は控えるようにします。
赤ちゃんの様子を見ながら、温めたタオルなどで身体を拭いたり、お尻だけベビーバスなどを使用して洗ったりする方法があります。
無理に行わず、手短に済ませるようにします。
普段からできる予防策
- 規則正しい生活をする
早寝早起きを心がけてしっかりと睡眠時間を確保し、身体を休めるだけでも予防に繋がります。
- 身体を冷やさないようにする
身体の熱を保つことが予防に効果的です。
身体が冷えてしまうと、抵抗力も下がり風邪をひきやすく熱が出やすくなってしまいます。
「赤ちゃんは素足でいるほうが感覚を鍛えられる」ともいわれていますが、寒い冬の日やクーラーの効いている場所で過ごすのにわざわざ素足でいる必要はありません。
薄着に注意したり、靴下を使用したり、大人の判断で身体が冷えすぎない工夫をしましょう。
- 手洗いうがいをしっかりする
病気予防の基本です。
まだ手の洗えない小さい赤ちゃんは、外から帰ったら濡れたタオルで手や顔を拭いてあげるようにします。
そしてなんといってもココが大切…
大人が元気に過ごし、ウィルスや雑菌を移さないようにする!
赤ちゃんの病気の原因は、お母さんやお父さんを介してかかる場合が多くあります。
大人は症状が出なくて気付かなくても、実はウィルスや菌を持っていることがあります。
気付かないうちに赤ちゃんへ移してしまわないように、まずは大人が病気をひかないようにすることが大切です。
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