目は抵抗力が弱く、とてもデリケートな部位です。
赤ちゃんが目をこすっていて、ママが気付いた時には目が真っ赤になっていたり、目やにがたくさん出ていたりしてびっくりする事があります。
目の充血や目やには結膜炎などの病気のサインになっている場合があり、受診を検討した方が良い場合もあります。
赤ちゃんの事だから小児科に行くべきか、目の専門医である眼科に行くべきか判断に困る時もあると思います。
そこで今回は、赤ちゃんでもなりやすい結膜炎について紹介したいと思います。
赤ちゃんの結膜炎でよくある症状は?
目を開けていると異物が入りやすく外部からの刺激も受けやすいため、目は炎症を起こしやすい部位だと言えます。
結膜炎とは、結膜と呼ばれる目の表面とまぶたの裏側を覆っている薄い半透明の膜が炎症を起こしている状態を指します。
結膜炎の代表的な症状としては、目やにが多くなる、目の痒みや充血などがあります。
ほかにも、まぶたが腫れたり、目がごろごろする感じがしたり、時には発熱をする場合もあります。
当てはまる症状がみられたら、早めに対処しましょう。
結膜炎にも原因によって3種類がある
結膜炎と聞くと1つの病気だと思いがちですが、実は結膜炎にも種類があるのをご存知でしょうか?
結膜炎は原因によって次の3種類に分類されます。
細菌性結膜炎
肺炎球菌やインフルエンザ菌、黄色ブドウ球菌などの身近な細菌が原因となり、ウィルスが付着した手で目をこすると細菌が結膜に付着して、結膜炎を発症します。
白目の充血や眼痛と呼ばれる目の痛み、黄色く、粘り気のある目やにが主症状として現れます。
身近な細菌が原因となるため、赤ちゃんが発症しやすい結膜炎です。
アレルギー性結膜炎
花粉やハウスダスト、動物の毛などが原因となって結膜炎を引き起こします。
涙や目の痒みが症状として現れますが、目やにはあまり出ません。
赤ちゃんはあまり発症せず、好発年齢は3歳から4歳頃以降となっています。
アレルギーが治らなければ再発するリスクがあり、こまめな掃除や換気などでアレルギーの原因を取り除く事が必要です。
アレルギー性結膜炎をさらに分類すると、下記の3種類があります。
- 季節性アレルギー性結膜炎
杉などの花粉が結膜に付着する事で結膜炎を発症します。
アレルギー性結膜炎の約8割は季節性アレルギー性結膜炎だと言われており、そのうち半数以上がアレルギー性鼻炎も併発するようです。
アレルギーの原因となる草木や花粉の飛散時期によっても、罹患(りかん)する時期は異なります。
眼鏡やマスクを着用して予防を行い、アレルゲンとなる物質が付着しないよう注意しましょう。
- 通年性アレルギー性結膜炎
ペットの糞や毛、フケ、埃やカビなどのハウスダストが空気中に飛散して、それが結膜に付着することで炎症を起こします。
特定の季節に発症するものではなく、いつでも発症するリスクがある事から通年性アレルギー性結膜炎と呼ばれています。
ハウスダストが付着した部位が炎症を起こすため、喉に付着すれば気管支喘息のリスク、鼻に付着すると鼻炎のリスクが高まります。
- 春季カタル
ハウスダストが主な原因と言われており、小学校低学年から中学年の男子に多く発症する結膜炎です。
特定の季節ではなく、いつでも発症するリスクがありますが、季節の変わり目に症状が悪化しやすいという特徴があり、稀に重症化する場合があります。
目の痒み、白い糸のような目やにが主症状です。
ウィルス性結膜炎
アデノウィルスやエンテロウィルスなどのウィルスが付着した手で目を触ることで感染しますが、入浴やプールなど水を介して感染する場合もあります。
目やにや涙、目がゴロゴロする、充血、まぶたの腫れなどが主症状となります。
時には、喉の痛み、発熱など風邪のような症状が出る場合もあります。
ウィルス性結膜炎は、下記の4種類に分類されます。
・急性出血性結膜炎
夏から秋にかけて流行するエンテロウィルス属による結膜炎で「アポロ病」とも呼ばれます。
ヘルパンギーナや手足口病などもエンテロウィルスと同じ属性のウィルスです。
白目の出血、目やに、充血などが主症状で、結膜炎が両目に発症する場合が多いです。
潜伏期間は1日前後ですが、症状は急性で1週間から10日ほどで治まります。
・咽頭結膜熱
主にアデノウィルス3型、4型、7型などが原因となり、喉の痛みや39度前後の発熱がみられますが、白目の充血や目やになどの目の症状は比較的軽めです。
プールを介して感染する夏風邪として知られており、一般的に「プール熱」と呼ばれています。
特効薬はなく、点眼を行いながら10日前後で治癒する事が多いです。
・ヘルペス性結膜炎
ヘルペスウィルスが原因となる結膜炎で、他者への感染はありません。
白目の充血や多量の目やに、目の近くに小さな水泡が出来るなどの症状がみられ、角膜ヘルペスを合併する場合があります。
・流行性角結膜炎
アデノウィルスの8型、19型、37型、54型などが原因となって起こる結膜炎です。
主な症状としては、充血、涙、目やに、眼痛などが現れますが、痒みはあまりないようです。
一般的に「はやり目」と呼ばれています。
水の中に潜伏する非常に感染力の高いウィルスが原因となるため、感染者と同じプールに入っただけで感染するリスクがあります。
1歳から5歳頃までの子供が特にかかりやすく、大人よりも子供の方が重症化しやすいと言われています。
多量の目やにや充血、目がゴロゴロする感じから始まることが多く、顎の下あたりにあるリンパ節が腫れる場合もあります。
潜伏期間が1週間から10日前後と長く、片目だけに発症した場合でも数日以内にもう片方の目に症状が出現する場合が多いです。
発症から1週間ほどで辛い症状のピークを迎えますが、その後は少しずつ改善していきます。
炎症がひどい場合は、黒目の表面に白い濁りが残って、完全に消失するまでには数ヶ月かかる場合もあります。
結膜炎かもと思ったら眼科?小児科?
結膜炎ではないかと思える症状があった時、大人であれば眼科を受診しますが、赤ちゃんであれば小児科に連れて行くべきか眼科に連れて行くべきか迷います。
明確な判断基準がある訳ではありませんが、充血や目の痒みなど目に関する症状のみが出ている場合は、眼科への受診をおすすめします。
結膜炎の種類は素人では判断出来ませんし、特に細菌性結膜炎とウィルス性結膜炎は初期の段階では区別がつきにくいため、目の専門医に診察して貰う方が安心です。
また、他者への感染の恐れがある結膜炎の場合は、保育園や学校の登園に専門医の判断が必要となります。
発熱や喉の痛みなど、目の症状以外の症状がみられたり、眼科で結膜炎ではないと診断されたりした場合は小児科を受診しましょう。
我が家の3歳の子供が結膜炎になった時の話
我が家の上の子は3歳の時に目の充血と痒みがあり、眼科を受診したところ急性出血性結膜炎と診断され、保育園に登園禁止となった事があります。
その時に初めて、結膜炎が人に感染することもあると知りました。
まだ小さい子供を眼科に連れて行くことに戸惑いはありましたが、事前に電話で混雑状況や初診時の待ち時間などを確認して、幼児であることを伝えておきました。
すると、比較的空いている時間を教えてくれて、待ち時間が短くなるように配慮して貰う事が出来ました。
眼科を受診する時には、ママや赤ちゃんの負担軽減のためにも事前に電話で相談をすることをおすすめします。
目ヤニだけでも見てもらった方がいい?
明らかな目の痒みや充血もみられず、目やにだけが続いている場合、「目やにだけで受診なんてしなくても・・・」と思いがちです。
ですが、目やにが病気のサインになっている場合もあるため、多量の目やにが続いていたり、普段と違う色の目やにが出ていたりする時には受診をした方が良いと思います。
少し前に下の子を小児科の健診に連れて行った時、自宅では気にならなかったものの緑色の鼻水と緑がかった色の目やにが出ていて、医師から「何らかの細菌が侵入している可能性がある」と言われ、点眼薬が処方されました。
赤ちゃんは目やにが多いものだと思い込んでいたので、特に気にしていなかったのですが、医師に言われて目やにの色や量も健康状態のバロメーターなのだと知りました。
思い込みや素人判断ではダメなのだと痛感しました。
目やにの色や形状に注意
通常の目やには、白っぽくて乾燥すると粉のようになります。
糸をひくようにねばねばとした目やにや、黄色や緑色をした目やにが出る場合は、何らかの細菌やウィルスに感染している可能性があります。
結膜炎以外の目やにが出る病気
結膜炎以外にも、目やにを引き起こす病気がいくつかあります。
鼻涙管閉塞
人の目は涙によって潤っていますが、涙が鼻から外へ出ていく時に通る鼻涙管と呼ばれる管があります。
あっかんべーをした時に見える小さな穴が鼻涙管です。
鼻涙管に蓋がされているような状態で涙が上手く排出されず管内で感染症を引き起こし、片目や両目から涙や眼脂があふれることで大量の目やにとなります。
先天性鼻涙管閉塞
生まれつき鼻涙管から鼻腔へ至る通り道に膜が残って塞がれている状態で、涙目とも言われます。
新生児の頃から常に目がうるうるしていたり、大量の目やにが出たりして気付く事が多いです。
赤ちゃんの鼻涙管は細く、涙嚢(るいのう)に溜まった涙は細菌が繁殖しやすいです。
成長と共に自然と治る事が多いですが、マッサージを行う事で約9割が1年以内に治癒します。
後天性鼻涙管閉塞
鼻や目の病気が原因で鼻涙管閉塞を発症する事があります。
中年以降の女性に多く発症し、手術をする場合もあります。
逆さまつげ
本来は上のまつげは上向きに、下のまつげは下向きに生えていきますが、逆さまつげは逆方向にまつげが生えていきます。
一部のまつげが内側に生える「睫毛乱生(しょうもうらんせい)」と皮下脂肪が原因でまつげが下向きに生える「睫毛内反(しょうもうないはん)」があります。
赤ちゃんのまぶたは大人よりも脂肪が多く、特に下側のまつげが内側に入りやすくなっています。
逆さまつげの症状として、目やにや充血、痛みなどがあり、角膜炎や結膜炎などを引き起こす場合があります。
風邪
風邪を引くとウィルスを体外へ出すために鼻水がたくさん出ますが、赤ちゃんは自分で鼻をかむことが出来ないため、鼻水が溜まっていきます。
赤ちゃんは大人に比べて鼻と目の距離が短く、鼻涙管も短いため鼻水が逆流して目やにとなって出てくることがあります。
赤ちゃん自身が風邪を引いている時はもちろん、家族が風邪を引いている時にもウィルスを排除しようとする働きにより、目やにが出ます。
ママ目線で目やにが気になる時には、早めに受診を検討しましょう。
結膜炎の薬は目薬?
結膜炎の治療のほとんどは、結膜炎の種類や症状に応じた目薬が処方されますが、状態によっては内服薬が処方されることもあります。
細菌性結膜炎
比較的軽症で済む場合が多く、抗生物質の点眼薬を使用すると1週間程度で完治します。
アレルギー性結膜炎
治療には抗アレルギー点眼薬を使用しますが、症状によってはステロイドの点眼薬を処方される場合があります。
ウィルス性結膜炎
ウィルスの種類によっても異なりますが、抗生物質の点眼薬や内服薬、抗菌点眼薬などが処方され、完治まで数ヶ月かかるものもあります。
身近なドラッグストアでも目薬を購入する事は出来ますが、結膜炎の診断は素人には出来ませんし、症状に合わない目薬を使用することで症状が悪化する場合もあります。
赤ちゃんに自己判断で市販の目薬をしないようにしましょう。
赤ちゃんに目薬を入れるポイント
まだ自分で動けない赤ちゃんであれば、嫌がりはしますが点眼を行うことは可能です。
自分で動けるようになると、目薬を嫌がって逃げる事があります。
赤ちゃんに目薬を使う時は、立ったままではなく寝かせた状態で目薬をさします。
高い位置ではなく目やまつげに触れない程度の低い位置で、目尻の横から入れると良いようです。
目薬の容器が目やまつげに触れると、容器が汚染されたり、容器で目を傷つけたりしてしまう可能性があります。
大人のように目を開けたままの状態で点眼をする事は赤ちゃんには難しいため、目を閉じたままで目薬を入れることもあります。
目を閉じたまま点眼を行う時は、目頭からさします。
赤ちゃんが嫌がって目をしっかり閉じても、目頭に点眼すると隙間から目薬が入っていきます。
それほど嫌がらない時には、点眼後にママやパパが指でそっと赤ちゃんの目を少し開けて目薬が目に入りやすいようにして下さい。
目からあふれて流れそうな目薬はガーゼやティッシュで優しく拭きます。
ただ、赤ちゃんが泣いて嫌がっている時は無理に目薬を入れないようにします。
泣くと目薬が涙と一緒に流れてしまい、効果がなくなるため、泣き止むのを待つか眠っている間に点眼しましょう。
目薬が終わったら、上手に出来たことをしっかりと褒めて下さい。
赤ちゃんにとって目薬は得体の知れない物です。
自分の目の上から何か降ってくるところを想像すると、大人でも少し嫌な気持ちになりますので、目薬だと分からない赤ちゃんは余計に恐怖を感じています。
目薬を入れる時は黙って入れずに、きちんと赤ちゃんに声掛けを行って安心できるように配慮しましょう。
はじめは目薬を嫌がる赤ちゃんが多いと思いますが、恐くない事が分かればだんだんと抵抗も減ってきます。
赤ちゃんが点眼に慣れるまでは、可能であればママとパパの2人で協力して目薬をさすと良いでしょう。
赤ちゃんの結膜炎はうつる?
結膜炎には、他者に感染するものと感染しないものがあります。
細菌性結膜炎
感染力は弱いですが、体力や抵抗力が低下している人は感染のリスクがあります。
アレルギー性結膜炎
体質が原因となるため、他者への感染はありませんが、ママやパパがアレルギー体質の場合は遺伝する可能性があり、注意が必要です。
ウィルス性結膜炎
ウィルス性結膜炎の中でも、別名アポロ病と呼ばれる急性出血性結膜炎、プール熱と言われる咽頭結膜熱、流行り目と言われる流行性角結膜炎の3つは非常に感染力が強く、他者にうつる可能性が高いです。
赤ちゃんからパパやママや兄弟などにうつる可能性がありますが、家族が赤ちゃんに結膜炎をうつす可能性もあります。
赤ちゃんの結膜炎の予防法は?
結膜炎は、汚染された手で目を触ったり、タオルなどを共用したりする事で感染する場合が多くあります。
日頃から、下記の点に気を付けながら予防に努めていきましょう。
- 赤ちゃんの手や指はこまめに拭いて清潔を心がける。
- 目やには濡れたガーゼやティッシュなどで優しく拭き取り、その都度捨てる。
- タオルを共用しない。
- 赤ちゃんのケアをした後は必ず手洗いを行う。
- 目やにがなくても、赤ちゃんが頻繁に目を触っている時には早めに受診する。
- 感染者は1番最後に入浴する。
- こまめに清掃を行い、清潔な空間にする。
- アレルギー体質が疑われる場合は、早めにアレルギーの把握をする。
赤ちゃんの目やにの拭き取り方
赤ちゃんの目やにを拭きとる時は、濡れたガーゼを使用するか、赤ちゃんの目のお手入れ専用の清浄綿を使用すると便利です。
拭き取る時は事前に手洗いを行い、強くこすらないように注意して拭き取ります。
乾燥してこびりついているような目やには、ぬるま湯に浸したガーゼで湿らせてから取り除く、入浴や洗顔後などで目やにがふやけてから取るなど、無理に取らないように注意しましょう。
乾いたティッシュでゴシゴシとこするように目やにを取ることは止めて下さい。
目の拭き方としては、目やにがない時は目頭から目じりに向けて拭き取る事が基本です。
しかし目やにがある場合は、目頭の目やには目頭の方へ、目尻の目やには目尻の方へ拭き取ります。
目やにの移動距離がなるべく短くなるようにして下さい。
またウィルス性の結膜炎の場合は、感染のリスクがあるため、ガーゼなどは使い捨て可能なものを使用しましょう。
結膜炎の時は保育園には行けない?
結膜炎の種類によっては、保育園に登園出来ないものもあります。
細菌性結膜炎
他者への感染リスクはありますが、集団感染を引き起こす可能性のあるウィルス性結膜炎と比べて感染力が弱いです。
しかし、保育園の登園については医師の判断が必要となります。
アレルギー性結膜炎
アレルギー性結膜炎は感染しませんが、結膜炎が感染するものだと認識している人は多いので医師や保育園と相談して登園しましょう。
ウィルス性結膜炎
感染力が強く集団感染に発展するリスクが高いため、学校保健安全法で学校感染症に分類されている下記の3種類では登園停止となります。
・急性出血性結膜炎
他者への感染リスクが高いため、眼科医から感染の恐れがないと判断されるまでは登園禁止です。
学校感染症の第3種に指定されていますが出席停止の期間はなく、医師の判断に委ねられます。
・咽頭結膜熱
学校感染症の第2種に指定されており、保育園に届け出を出した上で医師の許可が出るまでは登園出来ません。
症状がなくなって2日が経過するまでは自宅安静となり、登園するためには医師の登園許可証が必要となります。
・流行性角結膜炎
学校感染症の第3種に指定されており、目の充血と目やにが消失するまでは登園出来ません。
出席停止の期間はなく、症状をみて眼科医が登園の可否を判断することになります。
医師と相談してしっかりと治そう
結膜炎は誰でも罹患する可能性のある身近な病気です。
大人であれば、結膜炎になっても目をこすらずに手や指を清潔に保つことも可能ですが、赤ちゃんはそれが出来ません。
いつも赤ちゃんを見ているママから見て、赤ちゃんの目の状態や目やにがおかしいと感じたら、早めの受診を心がけて下さい。
そして結膜炎になったら、きちんと専門医の診察を受けてしっかりと治すようにします。
痒みや痛みで辛い結膜炎に赤ちゃんがならないように、日頃からしっかりと予防しましょう。
コメント